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2020.09.10

【セミナーレポート】 新時代の地方創生を考える#2 『地方と都市の共創による新規事業創造の可能性』(2020年8月11日)

2020年8月11日、AlphaDrive×NewsPicks主催のオンライン・イベント「新時代の地方創生を考える#2 『地方と都市の共創による新規事業創造の可能性』」に、高知県商工労働部 産業創造課長 濱田がパネリストとして登壇しました!

当日は、渋谷スクランブルスクエア株式会社 野村 幸雄氏、AlphaDrive 麻生 要一氏、全国からオンラインで参加いただいた延べ220名の視聴者の皆さんと一緒に、地方×都市×新規事業について熱気あふれるトークセッションが繰り広げられました。

【第一部:講演①】                                                     
渋谷スクランブルスクウエア株式会社 野村 幸雄氏
~SHUBUYA QWSの取り組みについて~
QWS=Question With Sensibility、「問いの感性」という意味を持つ空間SHIBUYA QWSは、渋谷駅の直上にある施設で、スタートアップを目指す人々が企業内では出会うことのない人々と交流できる場を提供している。会員は、14歳から91歳と幅広く、主婦から会社員まで多種多様な人々が集う。

SHIBUYA QWSとは、渋谷から世界へ問いかける可能性の交差点
原型は、イギリス、バーミンガムを中心に有力な学識者や発明家、経営者が満月の夜に集い、情報交換や議論をしたルナー・ソサイエティで、多様な人が集まり、フラットに話し合えるコミュニティーを目指している。型にはまったプログラムはなく、様々な支援を用意。6大学との連携協定や専門的な知識を持った会員企業にテナントに入ってもらうことで、会員の方が新規事業開発をされる時に研究を一緒に行うことも可能である。

創造力と実現力をサポートするQWSプログラム
常駐するコミュニケーターは会員の相談を受けたり、専門家の紹介をしたり、チーム作り等もサポートしてくれる。この他にもプログラム運営を行うファシリテーターの育成、支援を受けられるプロジェクトを公募するQWSチャレンジ、プロジェクトメンバーを募集したり、問いを投げかけることができるQuestionWallなど様々なイベントが用意されている。

地方との共創がスタート
新潟県、長崎県との取り組みが今年の4月からスタート。若者の県外流出や県内の産業衰退など課題は様々である。地方の課題を吸い上げ、QWSというコミュニティーを通して、スタートアップ企業や大学と地方自治体との連携をサポートしている。

【第一部:講演②】
高知県商工労働部 産業創造課 課長 濱田憲司
~高知県の取り組みについて~
課題先進県・高知の現状
高知県の人口自然減は、全国平均より15年早く始まっている。出生数が下がり、毎年7000人の人口が自然減少し、昨年6月には県人口が70万人を切ることになった。また、高齢化も進んでおり、3人に1人が高齢者である。将来の日本の縮図が高知県であると言える。

課題解決型産業創出を目指し、2016年にIoT推進ラボ研究会を創設
東京大学情報学環長の越塚教授をアドバイザーに迎え、現場の課題をIT技術で解決していくIoT推進ラボ研究会を2016年に立ち上げた。課題解決がゴールではなく、解決策となる製品を県外に売って外貨を得る、「課題解決型産業創出」を目標としている。その中で高知県園芸品生産予測システムや自動給餌ロボットなどの製品ができあがっている。

市場性・課題の磨き上げを重視した新たな取り組みへ
県内の企業単独では解決策のビジネス化が難しい案件が増加してきたため、事業創造の専門ノウハウの導入、課題の磨き上げ、外部コミュニティーとのつながりを強化した、高知県オープンイノベーションプラットフォームを今年度よりスタート。県外企業と県内企業が一緒になり、新しい開発を進めていきたい。今日のイベントがその第一歩である。

今年度の取り組みとして、課題解決プロジェクトチームとして県内企業を含む3社以上でコンソーシアムを組んでいただければ、ハンズオン支援と補助金で事業化をサポートをさせていただく。補助金は製品開発に加え、PoCでも利用可能。地方だからこそ、新たな挑戦ができることもある。IoT推進ラボ研究会に参加してもらい、リアルな地方の課題に触れ、高知県全体を製品開発やPoCの場として活用してほしい。

【第二部:パネルディスカッション】
3つのトークテーマを掲げて、それぞれの立場から見た地方×都市×新規事業のこれからの景色を語っていただきました。

  1. 地域が都市の企業を巻き込んでいくポイントとは
  2. 都市が地域の企業/自治体を巻き込んでいくポイントとは
  3. 都市と地域が一緒に事業創造に取り組むことによる新しい可能性とは?

地方連携を始めた今、QWSが地方と関わる難しさや可能性は?

-現場に赴くことが難しいため、地方の課題がなかなか見えてこない。
課題の粒度が粗い。ここを詰めていかないと解決策が散漫になってしまう。
課題の粒度が細かくなると解決策が見えてくる。(QWS野村氏)

-課題の粒度が粗いというのは、よくわかる。課題の因数分解をどこまでやるのか、時間がかかっても取り組むべきだと思う。それを解決するために高知県はオープンイノベーションプラットフォームをつくることにした。最初の一歩をだれがどうやるかが大事である(高知県 濱田)

-課題の分解は自治体の方が相当時間をかけてやっていると思う。それがちゃんと伝わっていないのではないか。キーワードは、課題の粒度。(AlphaDrive 麻生氏)

地域が抱える課題をチャンスに変えて、事業にするには?

-企業と自治体の組み方を変えていくことで、解決策が生まれていく。具体的な困っている事象を地域住民や県庁の方から聞くことができると、企業が解決できることが見つかる。QWSは、そういった課題を吸い上げ、翻訳しネットワークに届けていく役割をしていきたい(QWS 野村氏)

-たとえば、農業の現場から出てきた課題でも、ひと手間をかければ土木分野に活用できる技術へとつながる場合もある。その技術を欲する土木関連の事業者が多数存在することもある。課題をどう捉え、どう伝えるかに、さらに注力していきたい。(高知県 濱田)

-高知県オープンイノベーションプラットフォームの課題をQWSのコミュニティーに片っ端から持ち込んだらいいのではないか。地域の課題の粒度を細かくして、都市のコミュニティ側に渡してみて、また戻すという流れができると良いと思う(AlphaDrive 麻生氏)

【Q&Aコーナー】

経済的な課題に目が行きがちだが、その先の未来像はどう考えているのか?
経済的でない課題についてはどう捉えているか?

-課題の磨き上げをする過程で、ビジネスにはならないが何とかしなければと思う課題は県の予算の中で対応していかなければならないと思っている。課題を持っている側が受託開発という形で対応する場合もある。(高知県 濱田)

-社会課題が複雑化、大規模化する中で、ひとつのビジネス的な打ち手で解決できる課題は少なくなってきていると思う。アーティストの方がやっているような活動のような、人々のマインドセットを変える、社会課題に気付かせるというような活動もQWSは応援していきたい。それも社会課題解決の方法のひとつである。(QWS 野村氏)

1時間半という限られた時間の中でしたが、地方と都市のそれぞれの視点をとらえることができ、課題をチャンスに変え、新規事業が生み出すプロセスが見えてきました。

当日、オンラインセッションを視聴いただいた方も、この記事で興味を持っていただいた方も、まずは地方の課題をのぞいてみませんか。高知県における様々な課題がより身近なものに感じていただけると思います。

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