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「直販所における店内売れ行き状況の可視化による販売促進」プロジェクトの取り組み報告
高知県オープンイノベーションプラットフォームに「道の駅大月」から提供いただいた課題「直販所における店内売れ行き状況の可視化による販売促進」について、四国情報管理センター株式会社による実証実験がスタートしました。
高知県オープンイノベーションプラットフォームに「道の駅大月」から提供いただいた課題「直販所における店内売れ行き状況の可視化による販売促進」について、四国情報管理センター株式会社による実証実験がスタートしました。
■実証実験の概要
道の駅大月では、
・午前中に出品された商品が夕方には品切れになり、販売の機会損失が生まれる
・品薄なイメージが定着してしまうことよって客離れが生じているのではないかという課題がありました。
この課題を解決し、売り上げを伸ばしていくための実証実験として、道の駅大月の店舗内にカメラを設置し、野菜や鮮魚等の棚の状況をSNSで定期的に自動投稿することによって、お客様と出品者に対して店頭の状況を見える化し、その効果の検証を行いました。
■店内状況の事前調査
実証実験開始の10日前。道の駅の運営者にアドバイスを受けながら、来店客の動線を確認して、カメラの設置場所を決めていきます。
商品棚の様子を撮影するために最適な画角を調査します。全体像をおさえるために店舗の天井に近い場所でテストを行いました。
■実証実験開始当日
機材を持ち込んで、カメラの設置作業を進めていきます。
実際に取り付けてみるとカメラの画角に問題が生じたため、急遽道の駅大月の担当者にカメラ台を作っていただきました。
店内10か所にカメラの設置が完了し、令和4年1月26日から商品棚の状況を自動投稿するシステムの試験運用を開始しました。
現在はSNS(Instagram)上に一定の時間間隔で商品棚の画像を投稿し、来店客の反応やSNSユーザーの意識変化を確認しながら、製品化に向けて開発を継続していきます。
■プロジェクトメンバーの素顔
プロジェクトに取り組まれている四国情報管理センター株式会社の依光様、川原様、山田様に実証実験に至るまでの取り組みやオープンイノベーションプラットフォームでの活動についてお伺いしました。
ー皆様が普段どんなお仕事をされているのか教えていただけますか。
山田様:社内のシステム開発を行っています。入社2年目で、新規事業開発から社内業務まで担当しています。高知県オープンイノベーションプラットフォームでは、複数のプロジェクトに関わっています。
四国情報管理センター株式会社 山田康隆様
川原様:直近では高知県オープンイノベーションプラットフォームに関わる業務がメインとなっています。課題解決方法の検討や提案の資料作成、お客様との打ち合わせが主になります。その他、社員が使うシステムの補修やアプリ開発にも取り組んでいます。1年目はアプリの修正や社内向けのアプリの開発をしていました。現在、4年目です。
四国情報管理センター株式会社 川原由鈴様
依光様:私は32年目です。普段の業務では、お客様からご相談に応じて様々な場所に出向いていきます。営業活動だけでなく、お客様向けのDXのワークショップの開催やシステムのサポートも行っています。事業推進室では、新規事業に取り組む若手の支援や社内向けの活動報告も私の役割となっています。
四国情報管理センター株式会社 依光章様
ー事業推進室ができた経緯を教えて下さい。
依光様:2016年に作られた部署ですが、それまでは自社内での案件を扱っていました。社長の中城の方針で、「もっと地域社会への貢献をするためには新しいことをはじめなければならない」という話になり、現在の形になりました。
■直販所の課題に取り組んだきっかけ
ー直販所の課題解決に興味を持たれたきかっけを教えてください。
依光様:課題説明会と現場見学会は全部出ようと思っていたのですが、社内で話し合い、道の駅の課題解決に自社の知見を活かすことができるのではないかと思ったのがはじまりですね。
川原様:個人的には、道の駅の運営に興味があり、大月町が好きだったこともきっかけの一つです。
ー課題説明会の後に道の駅大月様に皆さんで見学に行かれたそうですね。
依光様:道の駅の業務について最初は分からないことばかりだったので、現場を訪問し、道の駅の職員の皆さんとお話することで少しずつ課題を確かめていきました。
山田様:現地見学に行く前には、いつも社内でディスカッションしていますが、実際に現地に行かないと分からないことの方が多かったです。
■現地での意見交換と仮説提案の日々
-プロジェクト立ち上げからこれまでの動きについて教えてください。
川原様:まずは現地を訪問し、道の駅の運営の方に解決策の提案をさせていただきました。社内で意見を出し合い、解決策の案をいくつか用意していましたが、詳しく状況をお聞きしてみると、想定とは異なる部分も多くありました。
依光様:最初は却下された提案もありましたが、道の駅大月様の運営サイドで検証されたいことも踏まえ、段階を追って検証を進めていきました。昨年12月には、道の駅大月の担当者の方が棚の状況を撮影し、手動でSNSに投稿していただくところから検証を始めました。
山田様:それと同時に道の駅大月様にご協力いただき、キャンペーンの一環として行われている利用者アンケートに質問項目を追加してもらい、SNSの活用状況や情報発信に対するニーズを調査しました。
ー昨年12月の手動でのSNS投稿やアンケート調査の手応えはいかがでしょうか。
依光様:アンケート結果により、年齢層やSNSの利用状況が見えてきました。道の駅がどのような役割を果たしていくと良いのかも含め、運営の皆様と一緒に考えていきたいと思います。
■試作品を使った実証実験について
ー現在も継続中の店舗の棚状況をSNSに自動投稿を行う実証実験ですが、どのように進められたのでしょうか。
山田様:道の駅大月様とオンラインで複数回の打ち合わせを行い、カメラの設置場所等を決めていきました。ただ、現地でないと分からないこともあり、本番の10日間前に現地にお伺いし、閉店後に調査をさせていただきました。
川原様:カメラの設置当日は、道の駅大月様と一緒にカメラの画角を確認していきました。急遽、カメラをセットする台を作っていただくなど、皆さんのご協力のお陰で何とか実証実験を開始することができました。
依光様:1月26日に試作品を設置してからも、検討や修正の繰り返しです。SNSの運営会社の規約や著作権について情報を得ることも必要でした。そうした背景があり、提案していたシステムを採用できなかったこともありました。
■プロジェクトの目指す方向性
ーこのプロジェクトで目指すところをお聞かせください。
依光様:今後の取り組みとしては、SNSでの棚状況の自動投稿が消費者に与える効果について更なる検証が必要です。また、生産者の方が抱える課題についてもヒアリングをしていきたいと考えています。
道の駅は休憩所、地域の特産品の売り場、地域活性化の場といった機能がありますが、コミュニケーション発展の場として展開させていけるようなシステムを開発し、横展開していくことを目指しています。
■課題解決に取り組む方へのメッセージ
ー最後に新規事業開発される方へのメッセージをお願いいたします。
依光様:弊社のビジョンとして、社会に貢献していくことを掲げていますが、個人的な想いとしては、次の世代の基盤を作ることが使命だと思っています。高知県全体の活性化を通じて成長し、同業者と高知県を盛り上げていきたいです。
川原様:コミュニケーションの大切さ、人と関わることでアイデアから見えてくるということが分かりました。高知県オープンイノベーションプラットフォームに興味がある方と一緒に課題解決に取り組んでいきたいです。女性の参加者が少ないのでぜひ増えてほしいです。
山田様:弊社はソフトウェア開発がメインで、サーバーやカメラなど知見が少ないこともありますが、高知県だけではなく、県外企業様とも協業しながら、高知県オープンイノベーションプラットフォームにおける、弊社の活動の場を拡げていきたいと考えています。
■まとめ
プロジェクトの立ち上げから実証実験に至るまでの経緯について、四国情報管理センター株式会社の依光様、川原様、山田様にお話をお伺いし、関係各所を巻き込むコミュニケーション力や検証・修正を繰り返しながら目指す方向に近づけていく意思の強さを感じました。
高知県オープンイノベーションプラットフォームは、地域の課題を解決しようとする企業同士の繋がりを生み、製品開発・新事業創出といった可能性を見出す場としてご活用いただきたいと思っています。
高知県IoT推進ラボの会員になっていただくと、解決を希望する課題情報の閲覧、課題説明会、現場見学会へのご参加など、様々な機会を提供させていただきます。ぜひお気軽にご登録ください。