-
「高知県OIPの課題データから考える、地域課題の捉え方と解決に向けて」開催レポート
2024年3月12日(火)にオンラインイベント「高知県OIPの課題データから考える、地域課題の捉え方と解決に向けて」を開催しました。このイベントでは、これまで高知県の「課題解決型産業創出」や「高知県オープンイノベーションプラットフォーム」の取組で収集した県内のあらゆる分野の課題の分析結果について、実際に課題解決に取り組んだ企業の皆様によるパネルディスカッションを通して、考察を行いました。
◼︎第一部:課題の分析結果について
第一部では、これまで収集した約1,000件の地域課題の分析結果を、事務局のSHIFT PLUSより発表しました。
分析結果から、どの業界においてもオペレーションにおける課題や情報収集の課題などが多く、既存のデジタル技術で解決可能な課題が多いことがわかりました。
今回の分析にご協力いただいたパーソルワークスイッチコンサルティング株式会社 シニアコンサルタント 登米 航 氏からは、潜在的な課題の掘り起こしについてや、課題の中からプロジェクトが組成される傾向などについて考察をいただきました。
◼︎第二部:パネルディスカッション
第二部では、課題解決に取り組んだ企業の皆様によるパネルディスカッションを通して、課題の分析結果の考察を行いました。
ゲスト:
・四国情報管理センター株式会社 代表取締役社長 中城 一 氏
・株式会社アイムービック 代表取締役 森本 健一郎 氏
・パーソルワークスイッチコンサルティング株式会社 シニアコンサルタント 登米 航 氏以下、パネルディスカッションでのコメントの一部をご紹介します。
「課題の分析の結果に対する印象は?分析結果を見て、地元企業として高知の課題やチャンスだと思うことは?」
中城氏
「アナログな部分で困っているといった課題が多いことが分かった。地元企業として、まだまだできることがあると感じた。より広くデジタルの情報(各種ツールのことや有効性など)を届けないといけないと思った。」森本氏
「OIP は課題を集めたうえで、課題を解決する製品開発を通じて社会実装を目指している。こういった取り組みは他に見当たらず、非常に価値があることだと思う。」「地域課題から新規事業・新規製品をつくる上で重要だと思うポイントは?」
中城氏
「まず、自社の技術的強みを活かして課題を解決できそうか、その上で地元の企業として取り組むべきかどうか、を判断基準としている」
「通常の業務はある程度工数が予想できるので、必要な人員・期間・経費が予想できる。しかし、解決策が判らない課題はどれだけ工数がかかるのかが分からない。そのため、費用対効果での判断が難しい。」
「解決策が分からない事業は、手探りな部分もあるが、社員は楽しそうに取り組んでいる。費用対効果だけで判断せず、人材育成・社員育成の視点も持ち、撤退ラインを見極めたい。」森本氏
「儲かるか、儲からないかは非常に重要な視点ではある。これに加えて、課題解決した際のインパクトがあるか、製品の横展開の可能性があるか、自社とシナジーがあるのか、補助金が活用できるかなども検討材料。」
「一方、それぞれの地域の状況に合わせて、地域の人が一番使いやすい製品やサービスを提供したいと考えている。どのようなソリューションを提供するかは、提供側の企業の考え方に大きく左右される部分でもある。」「高知県の課題を解決することに対してIT企業はどのように考え、どうしていくのが良いか?」
登米氏
「IT企業と課題当時者が密にコミュニケーションをとることで、物理的にも精神的にも一緒に取り組むことが大切。県外の企業の立場としては、各地域の企業とどう連携して取り組んでいくかが今後の重要なテーマだと思っている。」森本氏
「本当の答えは現場にしかない。地域の方に『課題はないですか?』と答えを聞いても課題は出てこない事が多い。現場に入って、一緒に課題を見つけることが大切。」
「地域課題解決は不確定要素が大きいが、人材育成や自社のビジョンの実現など多様な効果も期待できるので、企業それぞれでスタンスを決めて取り組んでいくのが良いのではないか。」中城氏
「圧倒的な労働人口不足という大きな課題に対して、地元の企業としてデジタルでできることに精一杯取り組んでいきたい。」
「地域の課題は1社のIT企業だけで解決できるものではなく、強みを持っている企業同士が協力していくことが大切。売る・買うのシンプルな関係ではなく、例えば売るのも買うのも複数社(者)の協力の上でとなるような、社会課題を皆で解決するような考え方・活動が広がることを期待する。」◼︎最後に
令和5年度の活動の締めくくりとして、これまで収集した約1,000件の地域課題データの分析結果の発表と、地域課題解決に取り組む事業者によるパネルディスカッションを行いました。このイベントが、IT企業の皆様に課題解決型ビジネスの可能性を感じていただくきっかけとなれば幸いです。
【お問い合わせ先】
■高知県産業デジタル化推進課
担 当:田辺・黒川
連絡先:TEL:088-823-9751
MAIL:kochi-iot@ken.pref.kochi.lg.jp