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2022.02.17

「中山間地域における水田の水管理の効率化」の課題について現場見学会を開催しました!

令和3年10月21日(木)に開催した「中山間地域における水田の水管理の効率化」をテーマにした課題説明会をうけて、12月1日(水)に高知県本山町にて現場見学会(オンライン併用)を開催しました。

棚田に代表される中山間地域の水田は、地理的条件から尾根伝いに散在していることや、尾根ごとに別々の水系に依存しており、1戸の農家であっても複数の水門を管理しなければならないことから、平野部に比べて水管理に多くの労力を要しています。高知県本山町においても同様の状況で、生産者が当番制で水門を調整しながら適切な水管理に努めていますが、生産者の減少や高齢化が進む中、現状の方法では負担が大きく、より効率的な方法が求められています。

■現場見学会当日のスケジュール
13:00 集合、現地見学会開始
13:00~16:00 本山町各エリアの水門・水路・水田の見学
16:00~17:00 本山町役場での意見交換会

■「天空の郷」を生み出す棚田を目指して見学会スタート!
高知県IoT推進ラボ会員(以下、ラボ会員)の皆さまに高知県本山町役場にお集まりいただき、山中の棚田を目指して車で移動することから見学会が始まりました。全国でもめずらしい山頂の尾根に沿って作られた棚田へは、軽自動車一台しか通れない細い道を登って移動していきます。道中、厳しい環境の中で、生産者の皆さまが「土佐天空の郷」というテレビ番組でも紹介された有名なブランド米を生み出している話を聞き、ラボ会員の皆さまも感心されておりました。

■棚田の水門管理は自然との戦い。人力を軽減させる課題解決策を考える
生産者ごとに所有している棚田ですが、それぞれにある水門の管理は当番制で、田頭となり、門の開け閉めや水量の調節を協力して交代で行っています。当日は天気もよく15㎝ほどの適切な水量が保たれていましたが、少しでも雨が降るとひざ下まで水量が上がり、棚田に甚大な被害が発生します。それぞれの棚田の地理的状況が異なるため画一的な水量管理は難しく、現在は田頭に選ばれた方の感覚に頼って作業されています。水路の下流から上流の様子の推察ができないため、上流まで各水路を車と徒歩で点検していく必要があり、土砂が溜まると身体的にもかなりの負担がかかります。

現地を見学しながら、設置されている水田センサーの形状や、電源の有無、通信環境などのITインフラの整備状況、それぞれの水門までの移動時間など質問が次々と飛び出します。

■伝統ある棚田を守ってきた誇りを次世代にも継承したい
本山町は少子高齢化による棚田の継承者不足という問題も抱えております。先祖から引き継いできた棚田と「土佐天空の郷」というブランド米を守るためにも、水管理の効率化によって、棚田全体をスマート化し、次世代へとつなげていきたいという生産者の皆さまの構想を説明いただきました。ラボ会員の皆さまは、現地とオンラインの両方の参加者がその場で意見交換を行い、解決策のアイデアを提案する場面も見られました。

現場見学を踏まえ、新たな視点に気づく意見交換会
現場見学後は、本山町役場に集合し、生産者の皆さまにより詳細な課題を説明いただきました。棚田は守っていきたいが、自分たちの子供世代には人力での水量管理はやって欲しくないという話を伺い、改めて過酷な作業環境を知ることができました。それでも先祖からの棚田を継続していきたいという真摯なお気持ちを受け、水量管理をデジタル技術によって効率化する方法についての意見交換が活発に行われていました。

現場を訪れてみてわかる事実により、新しい発想が生まれます。より要件にあったセンサーの設置や水管理の方法について、ラボ会員の皆さまも真剣に解決策を検討されていました。

■課題解決への一歩は、プロジェクトチーム作りから!
課題説明会や現場見学会後に、「自社だけで取り組むのは不安」、「他の企業と一緒に製品開発をしたことがないので進め方が分からない」といったお声をいただくことがあります。事務局では、プロジェクトチーム組成にあたり一緒に取り組む企業のご紹介や、事業開発を進めていくためのハンズオン支援も行っています。また、市場調査や試作品開発に活用できる補助金もありますので、お気軽に事務局までお問合せください。

■まとめ
今回の現場見学会により、課題説明会では見えなかった事実やその他の課題が見えてきました。また、課題の当事者から解決に向けて優先したいことを伺うことで、新たな視点で課題を捉えることができました。現場見学会を通じて、様々な技術を持つ企業様同士が出会うことで、新たな課題解決の可能性が生まれます。新事業を検討されている県内外のIT企業さまのご参加をお待ちしています!

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